青色信号

雑念

血継限界とか真血とか

子供の頃は家族の服装が嫌いだった。どうしてそんなにシワシワや折り目のある生地なのか。体のシルエットと違うヘンテコなカタチなのか。所々がゴムになっているブーツも変だと思っていた。しかし、お店の人が必ずお菓子をくれるので毎度ついて行った。中でもフロランタンと、オールスパイスのクッキーが大好きだった。小学生になって値札が分かるようになると、なんで仕事の関係者でもないお店の人たちが親を「先生、先生」なんて呼んで高い声を出すのかが分かった。ウワワッと広がるスカートに12万円の値段がついていた。バブルなんてとっくに弾けているのに。


母は優しいので授業参観にはネイビーのツイードのセットアップで来てくれた。けれど、ボタンがチャイナボタンになっていた。やはりどこか違った格好だった。その格好は可愛いと思った。


中学生の頃は老け顔すぎて似合わないためSEVENTEENはあんまり読まなかった。ませくってCanCamを読んでいた。徳澤直子さん派。レモンイエローのツインニットを着て、かごバッグにスカーフを結んで完全に赤文字系の格好をしていた。

転機は兄のバンド仲間がPerfumeにハマり、私も影響されたことにある。当時マイナーであったが日本のバンド界隈にはPerfumeのファンを公言している人たちが一定数いた。何故かクラブ系の元々テクノが好きな勢ではなく、バンドマンが。セラミックガールとパーフェクトスターパーフェクトスタイルとスーパージェットシューズのカバーが好きだった。Perfumeの衣装が市販品だったので、その事実を知るなり、真似するようになった。

CARVENを選ぶようになると、親はとても似合っていると褒めてくれて嬉しかった。


それから時は経ち自分のお金でSeebyChloeやらmameやらIreneを買うようになった。大げさな襟や袖のディティールやモダンなプリントに惹かれた。何より、Perfumeになれたようで嬉しかった。


何故Perfumeが好きかというと、彼女たちは巫女だからだ。あえて人間らしい感情表現はせず、ただ世界観を伝えるのみというのが異質に感じられた。完全に中二病ホイホイ。中二の私には彼女たちのシンクロしたパフォーマンスは見えない何かを呼ぶように、召喚しているように感じられた。当時流行っていたエロ可愛い私が会いたくて震えて君に出会えてよかったとfeat.していた歌詞に共感できなかった。留学(トラウマ)により洋楽もあまり聞かなくなり、さらにのめり込んで行った。歌詞やメロディや歌声が好きなアーティストは他に沢山いるが、Perfumeは「好きな歌手」のジャンルではなく「好きな巫女」。「好きな寺社仏閣および寺院教会」と同ジャンル。


最近買ったものの記録。バロックパールのネックレス。シンプルな格好の時に合わせる用。日本橋をうろうろしてANAYIで買った。中学からの友人がANAYIはパールの卸と契約しているからオリジナルのパールアクセは割安だと教えてくれたのを思い出した。本当かしらん。照りはそんなに良くないけど確かに割安だったから気にしない。保守すぎたら意味が無いから淡水でじゅうぶん。夏にARROWSで買い損ねた恨み、セレクトのやつだと知らずまんまと買い逃したつらみを晴らした。友人のママの参観日コーデは私の憧れだったことを思い出す。リボンタイ、フレアスカート。ベージュのパンプス。フェミニンでエレガント。あれはANAYIだったのか。

銀座三越でロンシャンのカスタムオーダーイベントをやっていた。MARNIのデッカい子は役に立っているが、重いからなーと思っていた。断捨離で旅行バッグを捨てたばかりだったのでオーダーしようと思ったら、旅行サイズのやつはキャンバス地オンリーだった。キャンバス地は服を擦るから嫌い。おまけに顔にも似合わないから却下。通勤用にナイロンのA4サイズで作ろうかな。一面にでっかくお馬さんの刺繍を入れたら可愛いかなぁと思ったが、通勤鞄にそんなにお金をかける気がしなくてやめた。A4サイズの何かを持ち運びたい時はmeのプリーツバッグか夏に買ったプチバトーのトートで良い。


ふと気づく。はぁ。なんてこった。結局私はmameを着ている。mameはミヤケさんとこ出身の人のやつだ。私の親族はなぜか一同にミヤケさんと呼ぶので習慣づいてしまった。この癖も直したかったのに。まんまとmeの胸元のカットが妙に似合うニットを着ている。meのサブバッグを持っている。最近1番褒められた靴は母のお下がりのPlantationとヨーガンレールのもの。どちらもフラット。


あんなに嫌だったのに結局実家の人の好むものを選んでしまっている。これが血が騒ぐってやつなのか。教えて下さいジャンプの主人公たち。


新しい職場ではスクラブを着ない。制服だと常にポケットがあったけれど、私服生活はポケットの無い服のときに困る。お手洗いも使い捨てのペーパータオルが無い。初体験なため驚いた。来月旅行にも行くことだし、常に下げていてもおかしくない小さなショルダーバッグを探した。LOEWEのやつは可愛いけど飽きる予感満点。ATPは可愛いけど割高。結果the dilettanteのミニショルダーを買った。無駄な存在感は無いけれどさり気なくアシンメトリーなつくりが可愛い。スマホとハンカチとメモ帳が入るサイズが丁度いい。この間買ったパールネックレスと合わせてもATPのやつ1個分。かなり良い買い物をした。


あと今月はSUQQUのチークの予約をする。CHANELの新発売の艶が残るけどマスクに付きづらいらしいリップも買う。そして愛弓さんのHIROSAIが楽しみ。最近のパキッとした色出しの国内ブランドでは、イウエンマトフが気になっていた。しかしサイズ感が合わず試着室で泣くことが多かった。HIROSAIはどうなのかなぁー。ECは怖い。