青色信号

雑念

縁切り

GODIVAは選ばない。その価格帯ならLeonidasにする。赤坂見附のそういう所が好きだ。どうやら私はLeonidasと縁があるようだ。地元にいた頃も家の近所にあった。狙った訳では無いがこっちに引っ越してきてからも家の近所にある。都内のLeonidasのある所は大体私の好きな土地だ。

人はまいるとまいるのだ。豊川稲荷の分院に行った。TOKYOでは縁切りで有名な神社。私の目的もそうだ。七福神、お地蔵さま、神社内のすべての神さまへお賽銭を奉納した。狐さまのところには絵馬までも。いつもゆるゆるでバチあたりな私にしては珍しい行動だ。


なぜ参っていたかというと、ハラスメントを受けていたからだ。労基違反。もちろん入職時から分かっていた。職場は自宅から徒歩5分。休憩時間に家に帰れるからまぁヨシ、と判断したのは私だ。10月で潰れる職場を9月末日をもって退職した。早期退職だ。ほんとうは早期もクソもない。職場が閉業するのだから雇用保険加入のない私が経済的にシームレスな移行をするのは当たり前だ。自己都合退職ではないから「疲れたし、一旦仕事辞めてゆっくり休んで~」なんてノリでは無いのだ。


嫌だったのは無論専務とその親族の従業員である。専務は私くらい背が低く、小太りでギョロっとした目つき、いつも額に脂汗が浮いている男だった。色々無理。専務のパパはやり手の社長だった。専務はパパのコネの中でしか生きたことが無い。コンプレックスの塊で、他人が賢いという事実が気に入らないのだ。

私が早期退職を伝えた時、私のセリフが終わる前に「ぁーーーいいよいいよいいよ!ウンウン!ぜーんぜん!」と捲し立てた。YESを表明しさえすれば優しくて理解のある経営者を演じきれていると思っているのか。間合い、ディテール、含ませ、すべて下手。つくづく下品だった。捲し立てるスピードに苛立ちと焦りがハッキリと見えて気持ちが悪かった。ついでに専務の親族の従業員(母親くらいの年齢の女性)も私への嫌味を繰り出してきた。お耳をドーナツにしていたので内容はあんまり覚えていないが「若いのに自分を大層な人間であると思うな。私の若い頃の苦労がドーチャラ、この仕事は経験がコーチャラ、昔医師会に勤めていた時はナンタラ」という話だった。はて。持っている免許資格が違う。医師会に勤めていたといっても彼女はたぶん事務の手伝いだろう。職域は聖域というのが臨床家のルールだ。他職種へのリスペクトが何よりも大事だ。いくら私が年下であろうと、平気で域を超えた発言ができる時点で、大した仕事を経験していないことが分かる。ようは私が若くして免許を取って週4しか働かないで暮らせているのが気に入らないということだった。馬鹿みたいだ。「いつも自分のこと凄いみたいに話すけど、誰もアナタに興味ないのよ」と言われた。『凄い』とは。私はその人に興味を持ったことが無いので何かを聞いた事は無いし、向こうに聞かれたことしか答えていない。大して会話をした覚えが無いので流石に驚いた。流石は専務の親族だ。血は争えん。自我が幼く相対評価で他人をみる。専務御一族には現場と関係が無いので興味を持たなかった。そして大した注意を払ってこなかった。ダルーーーーー。

現場の人間関係のトラップには注意していたので円の満。お姉さん方や後輩らとはまたプライベートで遊ぶ約束をしてニコニコと別れた。マタナーーーーー。


他にもひとつ、縁切りを願った理由がある。それは顧客たちからの念だ。私を助けてくれなかった、私を裏切った等という強烈な念が飛んでくるのを感じた。飛ばさないでいただきたい。雇用を保証しないで私を雇うという経営方針にのっとっただけなのだから専務へ飛ばしていただきたい。


いくら差別だと言われようとしばらくは北関東出身者とは関わりたく無い確かなmy heart。打率が良すぎる。10割が好ましくない人間だった。オールじゃないか。絶対良い人だって居るはずなのに。北関東出身者不信病だ。結構ゴロが良い。


どうか下品な人々と縁が切れますように、これからは良い縁に恵まれますように、と狐さまへお願いした。夫婦で凶のおみくじを引いたので身代わり地蔵さまに代打指名しておいた。帰りに表参道のCIBONEと青山のフリッツ・ハンセンに寄ってエルメでお茶をした。せっかく夫が甘やかしてくれたが、客層が好ましく無かったので青山店はたぶん二度と行かない。夫はデセールについて「チョコが重くて甘すぎる。ケーキをテイクアウトしたほうが良かった。チョコが恋しいお口ならLeonidasで十分だったね。」と言っていた。私も同感だった。次の職場では良い縁に恵まれますように。帰ったらLeonidasにも参拝しておこう。